私の家は代々『お百姓さん』です。私流に言えば『百姓』とは『何でもする人』のことで、昔の農家は土づくりから田んぼ、畑、養蚕、酪農など何でもこなしていたんです。しかも必要なものはすべて手づくり。今の農家は、堆肥も農具も『買う』ものだと思っています。時代の流れとはいえ、ちょっと残念です。
高校を卒業後に農業の道に入って、私がまずこだわったのは土作りです。化学肥料をなるべく使わないやり方を模索して、20代は試行錯誤の毎日でした。30歳になった時に島本微生物農法を知り、発酵肥料の作り方・使い方を学んだことが転機になって、自分で納得できる土ができました。自分が育てる野菜が本当に旨く感じるようになったのはそれからのことです。
40歳の時には、日本で初めて産地直送を手がけた人と出会ってノウハウを学び、仲間と農事組合法人『あずま産直会』を立ち上げ、そして2003年8月には有限会社『あずま産直ねっと』を設立しました。会社の代表として販売や営業、事務仕事が多いのですが、今でも自分の家の畑に出て農作業をしているときが一番嬉しいです。やっぱり根は『百姓』ですから。
振り返ってみると、30歳、40歳と節目のときに大事な出会いがありました。これも『ねっと』(=つながり)のおかげです。人は巡りめぐって生かされている、そんな想いを社名にこめています。これからも農業を通して、さらに色々な出会いがあるでしょう。自立を目指す若者達、安全で旨い野菜作りの農業者達、弊社の野菜を必要として下さるお客様達・・・そんな、沢山の方たちとの出会いと交流を深めていきたいです。
松村昭寿
あずま産直ねっと 代表取締役社長
松村昭寿の目指す農業